まともに働けないからこそ、生活の営み方を考えてみる

「はたらきかた」に思いを馳せるようになったのはいつからだったろうか。学校に通うのが当たり前の時期をだましごまかしながら通過した時点で、こりゃあ大人になって定番コースを歩めそうにないぞ、とひっかかった時かもしれない。
もしも先人がいるならどんな風に人生を送っているのか。知りたくて読んだ本を、登場人物の年齢順に並べてみた。

30〜40代?

「すこし低い孤高」

この記事の中ではおそらく若手、かつ唯一の自費出版。今を生きるクリエイター2人の対談本。創作に関わる話題や例えが出てくる辺りは一見クリエイター向けだけれど、どうも少数派らしいぞ、と思う「気質」や「傾向」が当てはまる人はクリエイターに限らず読み応えがあると思う。
創ることと食い扶持の両立について、実践例を書いてくれたことに感謝。つくっていれば生活は何とかなる、理想のためなら貧乏でも仕方ない!で終わるのではなくて、本人にとっていいバランスの取り方を模索しているところが響くものがあった。

60歳前後(会社勤めを続けた人)

「定年」の概念が生まれた背景や実際に定年を迎えた人々を、定年がない(と言われる)自営業の著者がインタビューした本。取材された人々はサラリーマン経験者で、何年も勤められた時点で世間に馴染み、出来ないことを成し遂げたように見えるけれど、そんな人々も定年という壁で行く手を決められ遮られるのだ。
定年は誰がいつ決めたのだろう。いつからか囁かれ、決められた中で一定の行動をするように刷り込まれる感覚はいつから出てきたのだろう。気がつくと決められているって怖くない?という気持ちと、それぞれのかわし方、受け止め方を読むうちに、人生って一体……と終わりなき迷宮へ招かれた気分。

全年齢(幼少期〜60代)

子どもの頃から60歳を過ぎた辺りまでの自叙伝。
専門性と経済的には豊かな家庭があったという点では、職業・経済状況は参考になるかどうか分かれる。この点に置いては著者はかなり恵まれているなあと思わずにいられない。しかし物質的豊かさがあっても精神の安寧とは程遠いところに共感した。
マジョリティから外れた20〜30代の姿、生き様、その後60歳までの生きた一例を示してあるのが良かった。著書内で中島氏も大学教授の定年を迎えるのだけれど、こちらは定年など関係なく年を追うごとに開放感に溢れているように見える。読み手が10代〜20代前半(含む精神状態)なら、手紙調に綴られた「カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)」もおすすめ。