実写化の喜びと恐怖

『トクサツガガガ』がドラマ化した。
漫画小説を問わず、自分は「原作が一番」のタイプである。なのでドラマを観るのに抵抗があったが、蓋を開けてみれば面白く視聴している。中でも特撮パートを!

トクサツガガガ|NHK ドラマ10
いつもニコニコ笑顔で女子力が高いと思われている。でも・・・。本当の私のことは誰も知らない。ドラマ10「トクサツガガガ」

動けばかっこよく、戦う姿は朝番組のよう

これはどうかと思うデザインのヒーローが、動いてみたらかっこよかった—というのは、特撮作品の定番である。トクサツガガガに登場するヒーロー達にも当てはまり、静止画の時以上にかっこいいのでは?とハッとさせられたのだ。
主人公脳内で励ましてくれるヒーロー達は原作にある図だが、ドラマになると異様であった。突如カラオケルームに現れるメタルヒーロー。カフェに佇む戦隊ヒーロー。周囲にいるのは民間人のみである。
過去に放映された特撮作品には、個室トイレで変身を完了するヒーローがいる位だから、ありうる光景である。なのにトクサツガガガ・ドラマ版のそれは非日常感が増していた。
なお、仲村さんが野外で怪人に囲まれる光景に関しては違和感がなかった。一般人(あるいは変身しない仲間)が敵の襲撃に合うのは、ヒーローものでよくあることだからかもしれない。

母親の毒も実写化

特撮の描写に盛り上がる一方、能面になってしまう場面もあった。ドラマ第2話の仲村さん母来襲である。
漫画を読むときは、読み手の都合が良いように、シーンごとの台詞も環境音も自分で調節できる。苦手な描写があれば、情報量を抑えることだってできる。
映像は目と耳両方から情報が伝わる。仲村母娘の買い物は、遥かに刺激が強いものになっていた。親が「親の」感情を子どもに押し付ける感じ、子どもの時の無力感が成人した今も尚続く感触、悲しいという感情で周囲を伏せさせるセコさ。
不快、不安、動揺、具合が悪くなる感情が一気に吹き上がりいたたまれなくなってしまった。録画で見ていたこともあり、この場面だけ途中から早送りで飛ばしてしまった。製作陣や役者さんの表現が合っていたからこそ、生々しい記憶が息を吹き返したのだと思う。

『トクサツガガガ』を読むのは特撮を取り扱う作品だから、という理由に加え、仲村さんの境遇に共感するからである。といっても、初期は隠れオタクあるある要素の方が大きかった。ところが、隠すようになった一因が似通っていたために、親に関するエピソードは読むたびに古傷を抉られるのである。ページをめくる手が一瞬止まり、真顔になってしまう。

複雑な想いを抱えながらも背中を押してくれるのはヒーロー達。
テレビに立体のジュウショウワンが映っている。エマージェイソンがどこぞのステージに本当に立った。映像は無言のメッセージが強い。シュールだ……と思う傍で、かっこいいな実写!!と拳を握っているのも事実なのだ。